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房総の鎖場カルチャー

鳳岩
人気の鎖場、乾徳山頂上の鳳岩.巻道あり。

数年にわたる母のマンツーマン介護が終わって、いきなり自由の身になった。
まだピンとこないが、そうか、房総の外へ出掛けて山登りを再開してもいいんだ。
でも右脚が「脊椎管狭窄症」か「坐骨神経痛」で痛い。
てっきり登山禁止と言われるだろうと、恐る恐る医者へ行った。
そしたら「痛かろうとドンドン登山すべし」「それで歩けなくなったら人間、もうオシマイだ」
スパルタ医者だ。いや、76歳ともなると皆な、こういう扱いだ。有り難いような、寂しいような、、、
じゃあ、めいっぱいアグレッシブにやろう!

そういえば、乾徳山、茅ケ岳あたりは東京から近いのに行ったことがないことに気がついた。
昔から人気で大勢が登るところだ。だが登りが3時間も?76歳にはムリだ、人込みもいやだ。

アレ、どっちも裏道があるゾ。乾徳山には「大平高原」、茅が岳には「観音峠」からのコースだ。
ここからだと1時間ちょっとの登りでOK!高齢者向きだ。早速出動。

大平高原へは、クルマで林道を登れば到着。
オフシーズンだったので路面各所に落石、崩壊があって、ちょっと心配だったが。
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乾徳山頂上

観音峠はちょっとマズイ看板あり!
いずれ高齢者登山免許証制度が出来て、「免停!」なんて困るなあ。
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余談だが、ここ「観音峠」は全国区になった!
麓からの標高差1000mを自転車トレーニングして優勝した地元高校生が現れたのだ。
スゴイ!

どっちのコースも誰にも会わない、静かな4月の山を楽しめた。
いや、熊には出会った!でも無視された。ヨカッタ。
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房総半島は孤立してるので熊だけはまだいない。
でも誰かが「つがい」の熊でも持ち込んだら大変なことになるだろうが。

鎖場がたくさんあった。なかにはタイアチェン利用?の鎖梯子まで!グッドアイデアだ。
縄梯子?タイアチェン?

その結果、、、、76歳にして「鎖場開花」してしまった!遅すぎるが。
ならばと、次は富士五胡「西湖」の「毛無山」経由で「十二岳」へ。 
ところが、、、、すごい難所に出くわした!
dangerous bridge

こんなところ降りれるの? 太い固定ロープ頼りに、落ちかかってる大石を抱えて、
ドロ崖をズリズリ下降、ようやく吊り橋へ。ユラユラ揺られたその先は、厳しいフリークライムだ。
地元の人に聞いたら「イエ、別に墜落事故は起きてません」ですと。
まあ、私も、もう命が惜しいわけではないが、皆さん、度胸がいいなあ。

さてそれからは、鎖場を求めて、今度は西上州の岩山巡りに狂ってしまったのであった。
なかでも「二子山」は素晴らしい。たった20分の登りで岩山の基部に行ける。
頂上から続く岩稜は、硬くて清潔なカルスト石灰岩、スゴイ高度感、まるで北アルプスだああ!
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コルにあった案内板も、す、す、す、素晴らしい。芸術作品だああ!
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駐車場で出会った、熊谷から来た方から、、、、
「房総のマッターホルン、伊予ケ岳に鎖場があるそうですね」「是非、皆なで行ってみたい」
と言われてしまった。エッツ、伊予ケ岳も全国区になった!
「いえいえ、ここの里山みたいなものです。東京タワーくらいしかないんです」と謙遜したが。

帰宅して、あわてて確認のため伊予が岳に。
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結果、ウーン、やっぱり西上州の岩山の1/5くらいのスケールだ、残念。
わざわざ熊谷から来られるほどではないなあ。
しかもこういうプラカードがある。
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以前はもっと過激な文面だったような?
山梨、西上州の鎖場は、どなたが管理してるか分からないが、こんな表示は全くない。

房総は「鎖場カルチャー」が違うのだ
「勝手に鎖やロープ付けちゃって、後はほったらかし。事故が起きたら地元が大変迷惑する」
j実際、こんな短い鎖場でも毎年、転落事故があるのだ!
付けたロープは外される。立てた道標は撤去される。これが房総の鎖場カルチャーなのだ。
まあ、登山者は地元にカネ落とさないもんね。観光客さえ来てくれれば十分なのだ。

そうはいっても、山梨も、西上州にも、別な鎖場カルチャーの悩みがあるらしい?
それは「鎖を付け過ぎるな!」とクライマー、登山者から苦情が出た。ナニソレ?
それで、せっかく山主さんが自費で設置してくれた高価な鎖を撤去したところもある! 
こうなると「鎖場の役目って何?」と考え直さないとイカン。

ところでドイツの友人に鎖場のことを話したら、、、「Chain ! Why Japanese people?」 
向こうではチェインにブラ下がって登り降りするようなアブナイところはないらしい?
そういうところには岩に足がかり、手がかりが打ち込まれているという。

また、トラバース・ルートはワイヤーだという。
ライフハーネスのカラビナをワイヤーに引っ掛けてトラバースする。セルフビレイだ。
同じシステムが北アルプスにもあるらしいが。

それと、トレッキングコースは行政が責任持って完全管理している。
その代わり、バリエーションルートは人工物なし、全く管理しない、自然のまま残す。
そこは登れる能力のあるものだけの世界として残しておくのだそうだ。
だからその中間、グレーゾーンは全く無い。

顧みて日本はというと、、、グレーゾンばかりだからモメゴトになる。
バリーエションルートがどんどん一般化される。そして事故が起きる。
事故になると立ち入り禁止禁止になる。「自己責任」が無い国だもんね。

さて、鎖場の役目って何なんだっけ?

1.修験道の修行の場、信仰登山の道、、、、八海山とか、両神山とか、妙義山とか。
      日本の山の大半は地元の「ご神体」。その管理道として鎖場がある。
      だから鎖場を全廃するわけにはいかない。
      それを登山者が利用させてもらってる。
2.仕事道、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、林業、狩猟のため
3.一般ルート途中のネック対策、、、、、、、、垂直壁や逆層スラブでそこだけ
                            突破出来ない場所。
4.登るのは簡単、だが降りれなくなる、!、、クライムダウンできない初心者のお助け鎖
5.鎖登り自体のプレイグラウンド、、、、、、、巻道がちゃんとあるのにここで遊びたいとか、
                            要するに力自慢、技自慢だな。
                            鎖登り自体が目的化してる。
                            クサリバ・オタクだ。

確かにジャンジャン鎖を付けると、一般の人が入り込んでアブナイ。
熟達者にとっては面白味のないルートに格下げになってしまう。
まず、No.5 のケースをなるべく減らすことくらいかなあ。

独標登り
西穂高岳の独標南面。ここには以前、複数の鎖が下がっていた?
今は残骸のような鎖が1本残っている。頂上の大石には新品のアンカーだけが!レスキュー用か?
独標の登り
独標の登り。鎖は無いので、初心者はオッカナビックリ。これでいいのだ。

中央アルプス「宝剣岳」北面の登りには、幅広に並行して右2本のステンレス鎖が付いてる!
贅沢品だ!その中央をフリーで登れということ。とても楽しい。初心者はどちらかの鎖が使える。
宝剣岳鎖登り

宝剣岳鎖場


極論は「岩場を突破する装備は各自が持参、通過したら責任持って回収する」
鎖が無いと登れないようなルートは全部熟達者の世界限定だ。
さあ、そうなると一般者は槍も、穂高も、剣も、登れなくなるうう!!!

そうじゃなくて、鎖に代わる「セルフビレーしないと登れないようなシステム」にするするのだ。
ナニソレ? 
ある岩山では、鎖を外してアンカー、ベタ打ちハーケンだけを残置してある。
動画を見ると、これに腰の2本のスリングのカラビナを交互に引っ掛けて
スイスイ登ってるベテランがじゃないか!

例えば原則、全部ワイヤーにする。そうすると腕力、握力頼みでは登れなくなる。
トラバース・ルートがワイヤーなら、カラビナ通してスムースにセルフビレーして通過出来る。
登行するところは、登山者が「登行器」を持参する。ナニソレ?
エヴェレストで使ってる「固定ロープに通すビレー器」だ。
ワイヤー用の登行器なんてあるの?メーカーが作ればいい。

だがワイヤーは屈曲、落石に弱い、ササくれて危ない、コストは高い。
ロープは寿命が短いし、、、

ワイヤーがダメならば、百歩譲って、登山者が「海賊フック船長」の「フック・グリップ」
を持参するのだ。ナニソレ? 手首に回す輪っかが付いたフックを「鎖目」に引っ掛けて登る。
そうすりゃ鎖を直接握るよりはるかに持ちこたえられるはず。
「そんなもん、売ってない!」 イエ、ちゃんとエイド・クライミング用に売られてます。
フィフィとかフックとか、、、
ま、目的は違ってて、アブミ掛けとか、岩角に引っ掛けてホールドにするらしいが。

ある意味、鎖場って、ロッククライミングよりアブナイと思うよ!
セルフビレイ無しでクライミングしてるのと同じだ。
登山ではなくて、フィールドアスレチック、アスリート向けのスポーツだ。

鎖に頼ってると簡単に体を振られる!
そうなると、片手でブラ下がれるほどの筋力が無いとアウト!荷物も背負ってるんだよ。
スターローンの「クリフハンガー」じゃあるまいし。
高齢者にはそんなこと絶対無理でしょうが、、、なのに高齢登山者は鎖場大好き!

皆なハーネスは付けてる、ヘルメットもかぶってる。
だが全くセルフビレイなんてやってないじゃないか! 

鎖って、ただのプル・ホールド代わりでしかない。
握力、腕力でないと登れないような鎖場は、帰りは懸垂下降でないと高齢者にはムリだ。
でも鎖場で懸垂下降してたら周りの目がコワイし。

動画では、スリング付きカラビナを「鎖目」に引っ掛けて、セルフビレイながら尺取虫みたいに登ってる
ベテランもいるではないか! エライ!
でも、これを実際にやってみると鎖目が小さくて外すのに苦労する.。
ゲートにロックの無いカラビナでないと引っ掛けられない。
しかもステップが無くて、両手の腕力頼りで鎖をつかんで登ってる最中に、片手放して、
下のカラビナを外して、めいっぱい上の鎖目に引っ掛けるなんて、、、できそうにない。
その瞬間に滑ったらアウト!
2セットのスリングを交互に付け替えればいいのだが、それでは2倍の時間がかかる。
困ったもんだ。

トラバースのとき、鎖にカラビナを入れて通過してるベテランもいるゾ!
やってみると太い鎖ではムリがあるけど、これはなんとかなる。

鎖の登り下りでも、鎖全体にカラビナを入れる方法は指導団体で推奨されている。
鎖の中間アンカーまで堕ちて止まるという次善の策だ。
但し中間アンカーが無かったら、、、スッポ抜ける!

なんで皆な、これらをやらないのか?これを条例で義務化したらどうだろう?

鎖場って「度胸試し」をやってるようなもんだ。だからけっこう粋がってるのもいる。
特に単独行のオバチャンは怖い。
昔、妙義山で「何、モタモタやってんのよー!」と叱られたこともある。
そういう雰囲気では、セルフビレイすること自体、恥ずかしいんだよね。

そういや、ヘルメットも条例で義務化されたところがある。
自転車通学ではヘルメット姿は当たり前。でもママチャリ・オトナはまだ恥ずかしい。
昭和の時代じゃ、バイクだってヘルメットかぶってなかった!
ウチのオヤジは、ヘル無しバイクで事故って、後遺症で死ぬまで家族が苦労した。

鎖場はヘルメット必須、ヤブでは防護メガネが必要、岩稜ではヒザ当てだって欲しい。
「そこまでして登るか!」   それが安全というものだ。

追伸!

動画検索していたらズゴイのを発見!
スイスのほぼ垂直の壁が連続する崖登りだ。ルート全長にわたりワイアーが付いてる。
鎖は全く無し。ムチャクチャ長い恐ろしいばかりのハシゴの連続。
鉄筋を曲げた足場が打ち込まれていてハシゴ状態のところもある。

トラバースルートには鉄筋がそのまま割りばしみたいに打ち込まれてるだけ。
それを片足ずつでたどるのだ。滑ったらアウト。
だが、ハーネスのカラビナを掛けるのだから滑落しても大丈夫!

問題は垂直のワイヤーだ。鎖みたいに腕力頼みでは掴めない。
あくまでスタンスに立つのだ。ワイヤーは補助として握るだけ、コワイ。

ところが、、、
ワイヤーには1メートルおきにコーン状の「そろばん玉」の親分が付いているではないか!
自分のセフテイ・ハーネスからスリングを伸ばし、その先のカラビナをワイアーに掛ける。
もし滑落しても一段下の算盤玉で止まるというわけ!素晴らしい!
ハシゴの脇にも、ハシゴ状態の鉄筋の脇にもこの算盤玉ワイアーが通ってる。

これで誰でも1級のクライマーでしか登れない壁をスイスイと安全にクライミング出来る。
ただし、、、物凄い高度感! 高所恐怖症でなくとも途中で凍ってアウト!!だな。
       それに途中で何度も休まないと体力が持たない。
       それくらいの高度差がある連続登攀だ。

日本にもこれが欲しかった。もう80才の私には手遅れだけどね。

オワリ














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プロフィール

ゴンベ

Author:ゴンベ
房総の沢、滝探検、ヤブ山探検、地形調査、デインギー(ヨット)などを書いていこうと思っています。
分かりやすいように書いていくつもりですが、もし分かりにくいことがあればコメントをいただければ可能な限り答えます。
読んでいただければ幸いです。

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