fc2ブログ

黒部渓谷下の廊下(旧日電歩道)

へへへ、小屋主の佐々木泉さんにサインして貰ったザックだ

DSC04949.jpg
これが意外な効果あり。あとから追い越した何人もが「アレ、いいじゃん!」と羨ましがってた。
でも、もし日付けが書いてなかったら、、、「小屋のザック盗んだのか?」と思われる!

前回、下流の欅平から水平歩道を歩いて阿曾原温泉小屋を訪ねた.。.
なので今回は、上流の黒部ダムから下の廊下(旧日電歩道)を阿曾原小屋まで歩こうかと。
だが、これが77歳には意外とハードルが高いのだ。

1.下の廊下が開通するのはたった1ケ月間、小屋は超満員!予約もオーバー。
  といって、「ガッテン飛び込み」では小屋に迷惑をかける。
  テント担いでなんて絶対ムリだし。

2.途中に高巻きハシゴとか、雪渓乗り越しとか、落石とか、難所が2つも3つもある。
  岩稜大好き、命が惜しくないジジイだから多分、ヘッチャラだろうが。

3.下の廊下ツアーの募集には「72歳以上お断わり」とある!これは何を意味するのか?
  このルートをクリアできる歩行スピード、耐久力の限界を72歳としているのだ。

  ノンストップで1日に15km、8時間歩かないとアウト!へバっても泊まるところが無い。
  始発のトロリーバスでも歩き出しは8時、小屋へは日没16時になる。
  個人差はあるが、これを72歳以上ではクリアー出来ないというのだ。

  なのに、何人ものお騒がせジジイが突っ込んで行って、皆さんに迷惑をかけてる。
  私とて、コースタイムでは歩けない、お騒がせジジイの仲間入りはしたくない。  
  ダム上流の「くろよんロッジ」に前泊して、早発ちする手もあるが、
  コースタイムが18km、9時間に増えてしまう。

  緩い下り一方とはいえ、ルートの最後に仙人ダム先の急登と小屋への急降下がある。
  ここでヘロヘロになった高齢者がつまずく、転落する事故が多いらしい。
  そこでスタミナ不足の連中は、ルート途中でのテント泊を考える。
  「ガッテン・ビバーク」(やっちゃいけないのを承知で)だな。
  ここは国立公園内だから緊急時以外のビバーク絶対禁止なのだが。

4.小屋を予約していて、日没までに到達しないと小屋から救助隊が出動する!
  予約してなくても最後尾をヨタヨタ歩いてると、追い越した目撃者から小屋に通報される。
こうやって、この重大事故多発ルートの安全が見守られてるのだ。

いくら考えてもうまい手が無い。
仕方ないので、黒四ダム下から進んで、ハーフタイムになったらUターンしてこようかなと。
例によって弾丸登山、徹夜ドライブで立山黒部アルペンルート、扇沢駐車場で仮眠3時間。
だがこれがとうとう破綻したのだった!

6時半に起き出してトロリーバスの切符売り場へ。ところが、、突然、激しい動悸と呼吸困難!
まさか、、、、たった900mなのに高山病?頭痛は無し、脚の筋肉も正常。

7時半の始発トロリーバスを待つ間を持たせるべく、売店の名物オジサンの1人漫談!
皆んなで大爆笑、でも、、、ガイジン観光客は「??」

8時には黒四ダムトンネル駅に到着、
観光客改札口と別れてトンネルを直進、社員通用門から外へ。
DSC04814.jpg
DSC04815.jpg
ドアを出れば目の前に絶景!超好天。
DSC04818.jpg

作業林道を川床へ向かう。何パーテイかが、おしゃべりに熱中してそのまま行ってしまって、、、、
そっちはダムで行止まりですよー!手前で鋭角に分岐林道を降りるのが正解。
これもすぐ行き止まるが、手前に下り階段道がある。
DSC04820.jpg
DSC04822.jpg
DSC04823.jpg

ジグザグの快適な100m以上の下り、あっという間にダムの川床に到着。
細い仮設木橋を渡る。コンクリの土台が残ってる。昔はちゃんとした橋があったのだろう。
DSC04919.jpg
ダムは観光放水開始!南風だとシブキがかかってくる。
北風だと放水そのものが霧と化して何にも見えなくなる。
DSC04840.jpg
ここからは快適な沢沿いの散歩道が続く。まだまだ下の廊下には遠い。
DSC04841.jpg
DSC04842.jpg
だんだんガレ場とか桟道が現れる。
桟道は古いものが多い。この広い川床では毎年、雪崩で粉砕されることが少ないのだろう。
DSC04843.jpg
DSC04844.jpg
絵に描いたような渓谷美。紅葉がポチポチと。昔、遡行した大井川源流を思わせる。
DSC04854.jpg
DSC04863.jpg
水平歩道現る!イヤ、水平ではない、普通のトラバース道だ。
DSC04851.jpg
DSC04859.jpg
この桟道は真新しい。粉砕されて今年、作り直したものだ。
DSC04867.jpg
だんだん険しくなってきた。注意しないと。
DSC04870.jpg
DSC04871.jpg
この枝沢横断の桟道には常にシブキがかかる。なのでロープで滑り止めが付いてる、
こんなの見たのは初めてだ!すごい親切な職人仕事だ!

この並べ方はヨット用語では「フレーキング」と言います。
デッキにこうやってアンカーロープを並べておく。
そうすればアンカーが水中に急激に落ちて行くショックが緩和され、
ロープがキンク(からむ)するトラブルも起きない。

戦争映画で、空挺部隊の巨大グライダーの曳航ロープが滑走路にフレーキングされてた。
曳航する爆撃機が離陸するに従いロープがズリズリと繰り出される。
最後にビーーン!とショックが来るのも防げるらしい。
DSC04872.jpg
丁寧な職人仕事に感心していたら、動悸と呼吸困難が本格化してハアハア、ゼイゼイ!!
ヤバイ、いくら深呼吸しても治らない。それでもムリして進む。
DSC04873.jpg
DSC04874.jpg
これが問題の内蔵助沢出合いの分岐。ここは右下に降りるのが正しい。
看板も追加されてる。それでも内蔵助沢へ直進、登ってしまうトラブルが跡を絶たないという。
うっかり直進するというのは地図をアタマに入れてない証拠。
下の廊下には分岐はここしかない。おしゃべりばかりしてるからそうなる。
内蔵助沢出合いに到達するまでは油断せぬことだ。

下の廊下が完全開通してないと沢床へ降りる分岐はロープで封鎖されてる。
それで間違えるともいう。
だがそもそも完全開通してないのを承知で突っ込むこと自体が問題。

DSC04878.jpg
出合いの木橋
DSC04882.jpg
渓谷は一段と美しさを増してくる。
DSC04879.jpg
DSC04881.jpg
DSC04889.jpg
向かいの絶壁に大穴が見えた。なんと。その奥から日光が?!
まさか絶壁がペラペラなわけはない。大穴の向こうに縦穴があるらしい、そこから日が差してる。
水流も落ちてる。房総丘陵にある「川回しトンネル、エイリアンの口」そっくりさんだああ!!
DSC04887.jpg
ここまでくる間に何人もの人に追い抜かれた。
誤解されないように皆さんに「もうじきUターンしますからね!」と言っておいた。

ずいぶん経って最後に追いつかれたのは、単独のスラッーとした若かーい女の子。
「アレ、こんなに遅く?」と聞いたら「室堂からの始発バスで来ました」と。
通い慣れてるらしく、風のように爽やかに飛んで行った。若いって、、うらやましい。
DSC04892.jpg
巨岩累々たる崩落地をペンキマーク頼りに通過。反対面に「鳴沢」が見える。
過去に洪水で幕営中に流された大量遭難があったという。

ここでとうとう動悸、呼吸困難、過呼吸が最悪となって行動不能!
平らな巨岩の上で大の字になって爆睡。1時間くらい眠って暑さで目が覚めた。
もう10月なのに夏のようだ。全く回復せず、このままここで病死か?
山岳傷害保険は病死、疲労、道迷い遭難は適用外なのだ!マズイ

直線距離でたったの2kmしか来ていないのに、、、、
まだまだハーフタイムにもなってない。だが撤退するしかない、
いや、ダムまで戻れるのか?そのくらいヤバくなってきた。

さっき乗り越えた巨岩崩落地を四つん這いで戻る。深呼吸しながらヨタヨタと、情けない。
今夏、3度も北ア遠征してきたけど、必ず歩き始めで動悸、呼吸困難があった。
それでも歩いているうちになんとか回復した。今回は回復不能の体調不良だ。

ようやくダム下の仮設の橋のたもとに到達。沢音を聞いて休んでいたら回復してきた。
ダムへの100m以上を何とか登り返せた。脚の筋力には全く影響がない。
昼過ぎのトロリーバズでノンビリ下山。ああ、77歳の夏山はこれで終わったなあ、、、、

今回の不調原因は、、、年甲斐もない弾丸登山のせいだろう。
睡眠不足による自律神経失調かなあ?これからは前泊前提の計画するしかない。


感想
私が2度行った前後、1か月の間に2人の転落死と1人の負傷者事故が発生!!!
1シーズン、たった1ケ月に2000人が殺到するとはいえ、この事故率は半端でない。
しかも毎年、同じくらいの死亡事故が起きるという。

2日間、合計35キロの連続歩行、いくら大半がヤブに隠されてるとはいえ、
「ビルの屋上の手摺りの外を歩いている」のと同じなのだ。
これはまさしく「高所作業者」 トビ職の方の仕事と同じレベルだ!!

一般の生命保険には高所作業者は加入できない。
黒部下の廊下は、単なる健脚向け、上級者向けのルートではない!
このルートに入る方は、高所作業者としての覚悟が必要なのだ。

前途ある方々が「悪天候でもない「たまたまの楽しい登山」で命を落とされるのは、
ロッククライマーや、ヒマラヤで命を落とす登山家とは訳が違う。
プロの登山家の多くは、いつも「30代まで生きられないかも」と覚悟してるという。
大学の有名山岳部のOBも、数人は若くして死んでるという。
アマチュア高齢登山者は、そういう覚悟を持ってはいない。
私を含めて「自分だけは大丈夫」と山に向かっているだけなのだ。

このルートは体力、時間に余裕を持ち、慎重に突破すべきなのだが、
それには必ずしも重装備がいいとは限らない。なにしろ高所、断崖ばかりである。
小屋泊まり前提の超軽装とするのも一案かもしれない。

追記
後日、自宅で同様の症状が再現!あわてて医者へ行ったら「心房細動です」と!
原因は、、、「加齢です」
血液が逆流して血栓ができる。それが心臓に詰まれば心筋梗塞?
脳に詰まれば脳梗塞?カテーテルとか治療法はあるが高齢者にはムダな手術?
血液サラサラの薬を飲めばいいが、ケガしたら血が止まらなくなる。

哺乳類の心臓は生涯で合計20億回の心拍数で寿命だと。
人間に換算すると63才でオシマイなんだって。
大きい動物ほど心拍数は遅い。ゾウは長生き。ネズミの寿命は2年。

大半の細胞は日々、再生されるが、眼の水晶体、神経細胞は一生、同じ細胞を使っている。
だから白内障は細胞の寿命で起きる。認知症も寿命で起きる。

オレはとうとう登山寿命に到達したのだ。
今日からは迷子札ブラ下げて、近隣を散歩するしか許されないのか、、トホホ、

終わり




スポンサーサイト



プロフィール

ゴンベ

Author:ゴンベ
房総の沢、滝探検、ヤブ山探検、地形調査、デインギー(ヨット)などを書いていこうと思っています。
分かりやすいように書いていくつもりですが、もし分かりにくいことがあればコメントをいただければ可能な限り答えます。
読んでいただければ幸いです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR