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ヨットとは呼ばない

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これはスポンソン(左右のフロート)のみ、トルネード級みたいなベニアのステッチグリュー工法で作った。
それをY15級にアルミパイプ(マストの折れたもの)で固定した。鈍足だが安定性抜群!
セールをリーフ(縮帆)して風速10mの前線から生還した実績あり。
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野次馬は「土人のカヌーだ」とバカにするが。
1995年頃の状態



著者の熊沢時寛氏は、横浜の造艇所の技術者だったと思います。
ベニア製のデインギーの制作工程が解説されています。
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小型ヨット
こちらはスナイプ級(現存しているかどうか?)についての実務的な工作の解説。

どちらも昔の執筆なので、接着剤、FRPに対する評価などは現在とは異なる。
昔はまともな耐水性接着剤など無かった。その中で工夫していたのだ。
繰り返すが、現在では耐水性接着剤はエポキシ以外に選択肢はない。


話は前後するが、欧米でヨットというのは、エリザベス女王が持ってるようなフネのことだ。
お抱え船員がいてエンジンで動く、本船よりちょっと小さい。モーターヨットとも呼ぶ。
加山雄三の「光進丸」がヨットそのものだ。

我々が言う大型ヨットは、向こうではセーリングボートと呼ぶ。セーリングクルーザーでも通じる。
では小型のヨットは、、、「デインギー」と呼ばれる。
だがデインギーとは小さい足船、ボートにも使われる。ややこしいのでいつも困る。

ちなみにオートバイ(オートバイサイクル)も通じない。メチャ古いらしい。
モーターサイクルと呼ぶ。だが最近は「バイク」でも通じるようになった。
マイカーも駄目だ。カーと言えば乳母車から荷車、車輪があればなんでもカーだから。
オートモビルもすごく古いらしい。ヨーロッパではビークルなのだが、アメリカではこれも固いと言う。
オートカー、モーターカーでも通じる。

昭和40年代、小生が最後に横須賀で見た建造中の木造の巨大ヨットは「オンデイーヌ?」だったような。
オランダで設計された木造大型セーリングボートだ。外板にシングル・プランキングを張っているところだった。
造船所の中は香ばしい木の香り、床いっぱいにカンナクズが20センチくらい積もっている。
掃除専門のおばちゃんがいるが追いつかない。一発、火が点いたら大変なことになる!

もう、今はあんなの作れる職人は居ない?作らせる道楽者も居ない?
作ったあとのメンテナンスも大変だ。ひたすら点検、ニス塗り補修に追われるだろう。
例え、あれを小型化しても自作はムリだ。カネがかかりすぎる。手間がかかりすぎる。

当時のお金持ちは歯医者さんだった。もうけたお金は大半が税金でもっていかれる!
クヤシイのでどうせなら大金がかかるモノに変えたい。歯科医の大学ではヨット部が盛んだった。
そこでお金持ち先輩がセーリング・クルザーを発注するわけ。
名古屋の造船所で見た作りかけの歯医者さんのヨットの「幅」は、、、、、
我々グループが発注したフネの全長くらいあった!荒れた海では右から左へ飛ばされる!

もちろん、FRPボートも自作の範疇に入る。
だがその工程はプロと同じになるのでここでは省略する。


最近、ネットで見る木造ボート自作にはマチガイが多い。

(1)「ヤセ馬対策」を全然やっていない。
薄いベニア板をキールに直交するフレーム、肋骨材に直接付けている。
あれではフレームの間が水圧でへこまされ、、まるでヤセ馬の肋骨みたいになる。
見た目最悪、水の抵抗も最悪、そして応力集中から破損する。
バテン
必ず、キール方向に長い「ロンジ」とかストリンガーなどの縦通材を全通させること。
それと、ベニア板には予め、ほぼ全通するような長い「バテン」を接着しておくこと。
その上でベニアをフレームに張り付ける。ヒコーキの胴体も同じ作りになっている。
なぜバテンが有効なのか?、、、、「断面係数」が増えるから。
薄いベニア板を使っても剛性が高くなって部分的なタワミが減るのだ。

(2)「スカーフ接手」をやってない。
ベニアでも長尺木材でも、継ぎ合わせるには全てスカーフにすべきだ。
「突き合わせ、バット接手」はバットである!
重くなる。剛性、たわみの急激な変化、応力集中が起きる。
スカーフ接手

(3)「目切れ」に無頓着
木材には木目がある。家具は狂いを防ぐため柾目板が珍重される。
直線材料の柾目板は木目が通っているが、ここから「曲がりモノ」を切り出すと木目が途中で無くなる。
これでは裂けてしまう。

木栓も柾目にすると具合がいい。
木栓を穴に叩き込んで、出てきた頭の真ん中にクサビを打ち込む。
これで木栓は抜けなくなる。
同じように、ボルト穴の埋め木も中心にクサビを打ち込むとキッチリ詰まる。

「板目の板」にすると目切れ裂けは防げるがネジレ、湾曲狂いは出る。
プロは根曲がり材、蒸し曲げ、積層、、、などなどの目切れのない工法を使った。

動画で発見した北欧のジイチャン船大工はリブに「幹曲がり材」を使っている!
山へ入って積雪で曲げられた細い灌木をヒョイヒョイ選ぶ。皮を剥いて形を整える。
芯持ち材の生木だ。
目切れ

(4)応力集中に無頓着
「切り欠き」というのは必ず応力集中する。そこから折れる、裂ける。
家具のような「指し物」ならともかく、ヨット、ボートでは必ず隅にはR、アールを付けるべし。
応力集中
応力集中防止
どうやってRを付けるのか?  切り抜く前に、角に大き目のドりル穴を開ける。
それらを鋸でつなぐようにカットすればよい。
切り欠き2
(5)ビームの疑問
以前から思っているのだが、ビームには大抵、ロンジのための切り欠きがある。
この切り欠きは集中応力の原因になるはず。
埋め木をして、ビーム自体は切り欠かない方式にすべきではないのか?と思う。
ビームの応力
また、ビームは普通、高さが一定のアーチ、弓形形状になってる。
よく考えるとビームにはラウンドボトムのリブのような均等分布荷重(水圧)がかかるわけではない。
人間の体重が集中的にかかる。そうであれば船体中心がモーメント最大となり、
そこが最弱部位になってしまうのでは?
弓の弦の形にして、軽減孔を設けるべきではないのか?と思う。

(6)グレーチングの疑問
グレーチングというのはセーラーのノスタルジックを誘う帆船当時からの伝統的な水抜き床だ。
だが、構造は切り欠きだらけ!なんで折れないんだ?
いっぽう、昔ながらのスノコというのは切り欠きが全くない。
応力集中のない優等生である。だがダサイ、、、、、
グレーチングとスノコ

(7)ポリエステルFRPを接着として使っている
一見、ポリエステルは木部によく接着する。だがそれは乾燥状態のときだけである。
木が水で湿潤化すると簡単に剥がれる。
接着には、多少高価でもエポキシを使うべきである。

ポリエステルは触媒で硬化する。10度以下では硬化しない。
エポキシは2液性で、これを混合する。15度以下では硬化しない。
冬季の使用は極めて困難である。接着したらドライヤーであぶってでも高温を保つこと。
硬化不良になったら、もういくら温めても固まらない。

なお、エポキシにはイソシアネートという発ガン性猛毒が使われている。
換気を良くし、活性炭入りの防毒マスク、ビニール手袋を着用すること。


ダブルボトムの危険性
ダブルボトム

デッキを水密にして、艇体との間をエアポケットにする。
そうするとスプレーをかぶっても、「青波」を受けても、雨が降っても、スターンから自動的に排水される。
転覆しても沈没しない、、、、と言われてきた。だがこれはマチガイだ!

(1)デッキにはいろんな金物が付く。この取付穴を全て完全にシールしなければならない。
老化、劣化したところは常に補修しておかなければならない。
つまり旅客機の翼内ガスタンクのように完全水密、完全気密でなければならない。
そんなことはヨットでは無理なのだ。

(2)万一、船底に穴が開いて浸水したら、もう排水は出来ない。お手上げである。
「アカ汲み」が入らないのだから、くみ出したくても出来ない。
そういう状況ではエアポケット内部の圧力が上がり、わずかな隙間を求めて
エアがシューシューと漏れ出る。潜水艦が潜航するのと同じ!
いずれエアポケットではなくて水タンクになる。 沈没間違いなし!

(3)ダブルボトムの内面は全く見ることが出来ない。
木造艇なら補修も出来ず、腐食も放置するしかない。

(4)ダブルボトムの内部に溜まった水を抜くために「キングストン」が付いてる。
キングストン
キングストン、すなわちドレンコック、ドレンプラグなのだが、、、
これが付いてること自体、ダブルボトムの内部に水が浸入することを認めているのでは?
自己矛盾である!ダブルボトムにドレンプラグはあってはならないのでは?

砂浜を発着する会員制のヨットクラブでは、上艇するたびにドレンプラグを抜く。
これは水抜きをすため?雨が降ってもボトムが満水にならないことのためにやる?
いやいや、そーじゃなくて、、、、、、ドレンプラグの盗難を防ぐことにあるのだ!
そもそも雨水が入るようなダブルボトムはあってはならないのだ。

ところが、、、
砂浜に置いてドレンプラグを外せば砂嵐の時には確実に砂がプラグ穴から入る。
この砂がすこぶる厄介者。ペットボトルの水で洗い流そうとしても奥へ逃げ込んでしまう。
そして次にヨットに乗るためにプラグをねじ込むと、ネジ穴に砂が噛みこんでしまう。
これを繰り返すとプラグもネジ穴も、ネジが潰れてスカスカになる。

それを知らずに乗り出すと、、、
波のパンチングでダブルボトムの内圧が上がったときに、プラグがポンと抜け出してしまう。
さあ大変、ボコボコと浸水が始まって、ボートは水船になってしまう。
ダブルボトムだから全く排水が出来ない。そのまま沈没!
小生はこの事故で同乗していた娘と共に危うく死ぬところだった。

(5)ダブルボトムにしたら内部には現場発泡の発泡体を充填するしかない。
そうすれば、、、、艇体が腐ろうと、穴が開こうと、浸水しようと、目をつぶることができる。

「現場発泡」作業をバカにしてはならない。均等に充填するには高温と、
発泡する前に原液が隅々まで流れ込んでいくように大急ぎでローリング、ピッチングを
与えて隅々まで液が行き渡ることが必要だ。やってみたけどシロウトにはむりだ。
発泡不良の原液がガッチリガラスみたいに手前で固まってる!
そして、、、、とても重くなるのだ!当たり前だ。注入した薬液のガロン缶の数だけ重くなる、、、

結論:シングルボトムにセルフベイラーを付けるのが一番安全だ。
    セルフベイラーの威力は絶大である。再帆走すればあっという間に水は抜ける。
    ただし、底を引きずってベイラーを壊してしまうことが多いが。
    そうなったらひたすらアカ汲みで排水しながらホームポートを目指すしかない。

    不沈艇にするならサイドタンクにエアチューブを入れるとか。
    または軽いスチロールを突っ込むほうがマシ。

(続編へ)

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ヨットの自作昔話(外板)

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フェロセメント3
フェロセメント2
米国のフェロセメントヨットの解説書です。
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ベニアのヨーロッパモス級のヨット(デインギー)を自作中。
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完成したモスをテストセーリング!至福のとき。
セールはフィン級のものなのでやたらデカイ。微風でも突っ走った。

ヨット、ボートの外板張りには無数の種類と歴史がある。
そのなかで自作に関係するものだけ触れると、、、

1.柔構造
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エスキモー(失礼、今はイヌイットと呼ぶ)のカヌーは、流木、動物の骨をフレームにして、
革ヒモで縛り合わせる。それに獣革をかぶせて引っ張って縫い合わせるそうだ。
はぎ目は動物の脂を塗り込める。波に乗れば全体がたわむ。スゴイ構造だ。

当然、今は多くの自作工房がある。
帆布に「ドープ」と呼ばれた塗料を塗った、かっての複葉機と同じ構造をカヌーにも再現した
「羽布張り」(ハフバリ、布張り)や、ベニア張り、ストリッププランキングなど、
いろんな構造、材料が使われてる..。
最新の動画で発見したのは、、、、荷物梱包用の幅広ラップでくるんだカヤック!
当然、全部透明、なーんだ、これでいいのだ!

北ドイツの湿地帯の伝統カヌーはトネリコ、柳の枝をザルのように縫い合わせる。
そこに布を張ってコールタールを塗る。軽い。腐らない。

さすがにヨットは柔構造は向かない。
マスト、ステイ(張りワイアー)のテンションをビンビンに張らなければならいからだ。
唯一、ゴムボートに帆装したインフレータブル・ヨットがあったけど。

2.剛構造

(1)フェロ・セメント ボート
セメントヨット、コンクリートボートというのがあった!沈まないのか?
鉄筋と金網を組み合わせて船体を作る。そこにセメントモルタル、コンクリートを塗り込める。
あとあと内部の鉄筋まで水が浸透して「爆裂」しないように、一定以上の「かぶせ厚さ」が必要。
だから数センチ以上のモルタルの厚みが必要である。重い。だが材料費は安い。
セメントヨットのメッシュ
セメントヨットのメッシュ

コンクリートだから塗り込め作業は一気にやらないと強度が保証できない。
中断したらその境界面が亀裂しやすい。大変な作業だろう。

これでデインギー(小型ボート)を作った人もいるが、、、ムリそう。大型ボート向きである。
数十年前、「秋津洲」(あきつしま)という大型ヨットが九州の八幡のグループが自作し、世界一周に乗り出した。
ハワイあたりで航海は中断したが。フランスの世界一周環境研究室を兼ねた大型コンクリヨットは現役である。

そんなコンクリートヨットの利点は、、バラストだ。
普通のヨットは鉄鋳物、鉛鋳物のバラストを作って船底にバラスト、オモリとして取り付ける。
そのことでヨットの復元力が与えられ、なおかつキールとして横流れを防ぐ。
キール、センターボードがあることでヨット、帆船は風に対して30度以上もの角度で「切り上がり」が出来る。
だが荒天下で、このキールバラストの取り付け部が折れたり、外れたりする事故も発生した。

コンクリートヨットは高価な鉛などでなく、充填すればそのままバラストキールになる。
しかも船体と一体構造だから、折れる、外れるなんてことはない。
ただし、、、、、比重は鉄、鉛よりずっと小さい。同じ重さにするには大きな体積が必要になる。
バイキングシップが船底に石を乗せてバラストにしたようなもんだ。
日本のウタセブネ、打瀬船も石を積んでるという。
だから薄くて長い、翼型の効率の良い形にはできない。
従って伝統的な「デイープキール型」船型を採用することになる。
デープキール

漂流物にぶつかったり座礁するとヒビが入る。いくら補修しても水が浸透して鉄筋が腐食する。
こういうのを「爆裂」という。これが致命傷になる。

(2)クリンカー張り(鎧張り)
クリンカー張り

バイキング・シップの作りである。昔の貸しボート、海軍のカッターは全てクリンカー張りだった。
板の継ぎ目が折り重なっている。その突起が荒波を切り分けるという信者が多い。
もう1つ利益がある。それは外板同志をリベットしていること。だから重ね目の剛性、強度が高い。
まるで無数のロンジ、ストリンガー(縦通材)と同じ役目をしている。
シングル・プランキングより格段に剛性が高い。
バイキングはこのことを知ってて、クリンカー張りのバイキングシップを作ったのか?

外板同志、外板とフレームを銅のリベットで固定するときの音から「チャンチャン」と呼ぶ。
もっとも、東欧の船匠の動画を見たら、、、、リベット使ってない!
銅釘を打ち込んで反対側に突き出た先をはハンマーで曲げてるだけ!これでもいいの?
隙間には「マキハダ」を突っ込んでコーキングする。

シングル・プランキングをシロウトがまともに作るのは難しい。
なので今は、ベニアとエポキシ接着剤で簡易に自作する方法ができたそうだ。

(3)ダブルプランキング、ダイアゴナル・プランキング

シングル。プランキングダブルプランキング
型の上に薄い板を固定する。今度はその上に90度直角に薄板リベットで張る。
水平に3層にすることもある。間に布や和紙を張って半練りペイントで固めたという。
そんなもので水漏れしなかったのだろうか?
剛構造なのか?いや、これは柔構造だという人もいる。

この薄板を全てエポキシ接着した場合はコールドモールドと呼ばれる。
こうなると完璧なセミモノコック、剛構造になる。高級ヨットに今でも使われている。
船型と同じベニア板を作るようなものだ。エポキシの使用量がスゴイ!
何しろ層の枚数分の全塗装と同じ量になるのだから。規模といい、繊細な構造といい、芸術品である。
かっての高級デインギーは工房でこうやって作られた。

(4)ストリップ・プランキング
sトリッププランキング

長尺角材を、モールド(型)の上にひたすら接着しながら積み上げていく。
隣のストリップには「アンカー・ファスト・ネール」で打ち込む。釘の使用量がスゴイ。
エポキシなら接着が終われば抜いてもいいのだが抜けない!釘の重さが加わるのが困る。
毎日、少しずつ積み上げていくだけ。自作は楽だ。
ピンポン玉のようになるから、フレーム(肋骨材)はいらない。
卵の殻のような強いハル(艇体)が出来上がる。

最近は釘を省略して緊締バンドのみで「薄板」を接着する方式も現れた。
接着圧力を要求しない、隙間が3mmくらい空いていてもくっつくエポキシならではの工法だ。

(5)ベニア張り
ベニア板張り

自作といえば、かってはこれが一般的だった。木でフレーム、肋骨材を作る。
それを船台の上に立ち上げてキールやシアー材、ロンジでつなぐ。
そこにベニア板を張る。全てエポキシを塗って木ネジで固定する。
軽量小型ヨットなら、仮釘やホチキスで打ち付けて、接着後に抜くことで
木ネジを使わないこともできる。

ナックルのついた和船のような角型船型しかできない。
ラウンド船底を有難がる人もいるが、角型艇それ自体は決して性能が劣るわけではない。
クラッシックモーターボートや魚雷艇は角型だし。
波切りが良し、プレーニングにも、切り上がり性能にも寄与する。

いくらマリングレードベニアといっても所詮、ベニアである。
ベニアのコバ、(木端)は細胞が破断されてるので、耐久性は劣るから
エポキシを含侵させて固める必要がある。軽量、高性能、だが自作する手間はかかる。

(6)ステッチ・アンド・グリュー工法
ステッチアンドグリュー
エポキシの普及でフレーム無しのベニア工法が現れた。更に軽量になった。
展開外板の型紙でベニアを裁断、それを銅線で縫い合わせる。これでいきなり船型が出来る!
合わせ目にガラスクロスのテープをエポキシで貼る。
固まったら強引に内部にフレームを突っ込んで曲げて接着する。それだけ。
早い、軽い、強い。究極のモノコック構造である。
平底なら船台も不要になった。

一度作ったらやめられないくらい、苦労が少ない。
オリンピックのトーネード級で知られるようになった。
カヌーでもカヤックでも、アウトリガーフロートでも作れる。

私も、デインギーをトリマラン化したとき、そのスポンソンを「ミニ・トーネード風」に
ステッチ・アンド・グリューで作った。とてもベニアで作ったとは見えない出来栄えだった。
デッキに全く開口部が無いから完全なモノコク構造だ。

春の前線通過に掴まって強風に襲われた!
風圧に負けてオーバーヒールし、スポンソンは潜水艦のように没水した。艇速はゼロに。
折れるかなあ?つぶれるかなあ?と覚悟したが、見事に浮き上がってきた。
モノコック構造は軽くて、流体中の均等荷重にはめっぽう強いのだ。

(7)鉄板ボート
本船の鋼鉄船とは違う。チャイン船型しかできない。オランダで開発された。
ステッチ・アンド・グリュー・ベニアのボートを、そっくり鉄板に置き換えただけだ。
曲げ、ねじり加工のみ、絞り加工が全くない。だから自作できる。
鉄板を型紙に合わせて裁断し、それを点溶接でつなぎ合わせればステッチ完成!
自動溶接機で連続溶接つまりグリュー、シロウトでも簡単らしい。

さすがに重い鉄板なので船台(というか外型枠)は必要。
鉄工場の社長が夜なべに自作したという。
これなら極地を航海して流氷にぶつかっても大丈夫。

今は、オランダ、豪州の鉄、アルミのモーターボートの造艇所では普通にこの工法で作られてる。

(続く)




ヨットの自作の昔話(接着剤、コーテイング)

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ヨット工作法1

かっての自作者の座右のバイブル、敬愛する故横山晃氏による力作。
雑誌「舵」(今はラダー)に連載されたものの集大成。電子版が出てるのかなあ?
昔のことなので、内容は現代とは少し異なるが、歴史的名著である。
プロ向けの教科書レベルだが「はじめは誰でもシロウト」だそうです。
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完成したヨーロッパモス級を砂浜から進水!果たして浮くか?

始めに断っておくが、このブログで取り上げる自作ヨットは、昔々、本格的な造艇法
による工芸品のような構造のヨット、ボートである。その昔話をしようと思う。
まあ骨董品といわれればそれまでだが。
今日、ネットを検索すると出てくるのはフレーム無しのベニアヨットやボート。
ほとんどが「ステッチ・アンド・グリュー方式」と呼ばれる簡易な造艇法なのです。

小生の住む海岸の砂浜には多くのボート、ヨット、漁船が打ち捨てられている。
かっては木造船、べニア張りのボートも埋まっていたのだが、それらは腐って消滅した。
生き残っているのはFRP、ガラス繊維強化プラスチック製,、つまりポリエステル樹脂である。
FRPが出現してからかれこれ70年、その当時は寿命はせいぜい20年といわれた。
ドッコイ、こいつは紫外線での劣化に強い、腐らない、半永久的なことが分かってきた。

きちんと廃棄するには業者に数十万円のカネを払わなくてはならない。
だが、、、誰もそんなことはしない。
地元の元漁師は、廃棄FRPボートを重機でコッソリ砂浜を掘って埋めてしまった!
埋めれば腐るとでも思ってるのか?
それとも砂浜は江戸時代から漁師のものだと思っているのか?

見物していた地元の人もいた。だが相手が名士?知人?だったので黙認。
警察、自治体にデンワしたら「現行犯でないと、、、」と逃げ腰。
通報した小生が逆恨らみされる結果となった。

木造船は地球に優しい。御用が済めば自然に帰っていく。
いや、使用中でも腐り始めてしまうのが困りものなのだが。
FRP船はメチャ軽い。少ない馬力で簡単に滑走、プレーニングできる。スピードが出る。
かくして木造船はFRPに駆逐され全滅した。

それだけが原因ではない。
当時、木造船にFRPをコーテイングすれば水漏れしない、腐らない、という迷信があった。
だがコーテイングした木造船は、なぜかあっと言う間に腐った!
原因は、、、、
木部に接着していたはずのポリエステルは水が浸透すると簡単に剥がれる。
そこに水が溜まる、というか水が抜けない。常に湿潤状態となり、バクテリアに食われたのだ。

原因はポリエステルは水分を透過するからだとも言われた。だがそれはウソだ。
木との接着力が無いのだ。木は水分で膨張、収縮する。その時に剥がれる。
ポリエステルは木の接着剤ではない。

不思議なことにポリエステルは鉄板とはスゴク密着する。
漁師の軽トラは新車のときに、造船所に頼んで荷台全面をFRPコーテイングする。
こうすると塩気のある魚を運搬しても全く鉄板は腐らない。剥がれない。
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大きすぎてFRPコーテイングの嵐を免れた巨大木造漁船は、離島、僻地の漁港に
寂しく放置されている。塩水漬けのほうが腐らない。いや、さすがに腐ってもう無くなってるかなあ。
木造漁船は「第五福竜丸」など、各地の「船の博物館」に細々と保管展示されているに過ぎない。
それらをみると巨大さに圧倒される。こんなデカイ船まで木造で作ったのか!
こんな長い木材があったのか?こんなフネで外洋へ出てマグロを取っていたのか!
信じられない。
戦中の掃海艇は磁気機雷でやられないために木造だったという。
今ではFRPだそうだ。

しかし、、、、木造ヨットの世界では、その後数十年を経て再びプラスチック・コーテイングが復活した。
それは最強といわれたエポキシ樹脂を使った同じ「FRP」である。
木材の接着剤としてもエポキシはフェノール樹脂と並んで最強である。
合成漆(ウルシ)みたいなもんだ。
しかもフェノール樹脂と違って体積収縮しないので、圧着が不十分でもくっつく。
空洞でも充填される。

エポキシもまた鉄板とは良好な密着性がある。
現代のクルマは、ホワイトボデイが出来上がると「ED塗装」を行う。
といってもエポキシのプールに車体全体をドブンと全体を漬け込むだけである。
これであらゆる傷、空間、切断面(コバ)がエポキシでくまなくコーテイングされるので
海岸の潮風、雪国の塩素系の融雪剤にまみれても簡単には錆びない。

ただ、最強のエポキシにも弱点がある。まず値段が高い。それと紫外線にやられるのだ。
透明だったものがじきに黄変する、ヒビ割れる、強度が低下する。老化する。
だから更なる上塗り塗装が必須なのだが、それは車にとっては何の問題もない。

前置きが長くなったが、エポキシ樹脂の普及で木造の造艇が復活した。
これでベニアでボートを作っても全面にエポキシをコーテイングすればよい。
圧着が不十分な木材でもくっつく。プロしか使えなかったフェノール樹脂は不要になった。
隙間が出来たらストッキングの切れ端に浸み込ませて突っ込めば固まってくれる。
かっての「マキハダ・コーキング」の代わりが出来る。

エポキシは文化財の保管にも貢献している。
発掘された木製品、縄文時代のカヌーとか、仏像とか、
エポキシ漬けにすれば半永久的に保存できる
。ただし日の当たらない博物館の中というのが条件だが。

だが、それも万全ではなかった!
エポキシは、内部の木部深くまで浸透していて木材を補強してるとカン違いされていた。
だが実際は0.2mmに満たない範囲でしか浸透していなかった。
要するにニス塗りと大差ないのだ。そのことを見落としていた。

木部の両面、木端、コバ、全面にエポキシを塗ったとしても、
ドブンとドブ付けにしない限りどこかにピンホールがある。
そこから侵入した水分は、今度は半永久的に抜けない。
湿潤状態を保って簡単に木を腐らす。

エポキシ・コーテイングのベニア木製カタラマンヨットが外洋を回航中にポッキリ折れた!
瀬戸内海でベニアヨットが破損、沈没した。
内部の木部が見えないまま腐っていた。どこからか水分が浸み込めばオシマイ。
だから全体をコーテイイングしてはならない。
外面だけをエポキシ・コーテイングして、内面は湿気が蒸発できるように、
目視点検できるようにするしかないかなあ。

木造船は使うときは水に浸かるが、使わないときは陸に上げて乾かすのが一番。
ヒシャゲて隙間だらけになった木造船は、再び水に浸かれば膨張して漏れなくなる。
ベニアのボートはそうはいかない。
ベニアヨットはヨーロッパでは健在だが、小生には信用できない。


あーあ、本当に前置きだらけになってしまった。
要するにエポキシをアマチュアが入手できるようになって「木造ヨットの自作」が可能になったのである。

(続編へ)







プロフィール

ゴンベ

Author:ゴンベ
房総の沢、滝探検、ヤブ山探検、地形調査、デインギー(ヨット)などを書いていこうと思っています。
分かりやすいように書いていくつもりですが、もし分かりにくいことがあればコメントをいただければ可能な限り答えます。
読んでいただければ幸いです。

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