fc2ブログ

不時着した博物館?  続々編です

最後は軽飛行機のメンターです。
メンター全景
思い出したけど、富士重工が国産化したはず。
私が中学生だった昭和30年代、新聞に「戦後初の航空機生産始まる」とあった。
機体を裏返しにし、主翼に砂袋を次々と積み上げていって、弓なりに変形させる限界強度試験をやってる写真が載ってた。
ミシミシと翼面にシワが出るかどうかで判定する。戦前からやってる許容Gを測る原始的な試験だ。

メンター全景3
練習機だけど「尾輪式」ではなくて、ちゃんと「前1輪式」になってる。
でも、細くて長い脚になってしまう前1輪は、現代でもトラブルが多い。
出なかったり、折れたり、曲がったり、パンクしたり、、、

その点では戦中に全盛だった「尾輪式」は面倒な前輪機構を省略できた。
しかし離陸時の前方視界が悪い。タキシング時はフォークリフトみたいに「後輪操舵」になる。
着陸時の「つんのめり事故」が多発。つんのめるとプロペラが破損する。最悪、裏返しになる。
静止時は床が傾いてる、などからほぼ絶滅した。

プロペラは「竹とんぼ」のような貧弱な2枚。エンジンパワーが小さいからこれで十分。
可変ピッチ装置はあるのかな?

そもそもプロペラの枚数、直径はどうやって決まるのか?
ペラは高回転ほど空力効率がいい。とはいっても「チップスピード」が音速を超えるとダメ。
エンジンパワーが大きいほどペラの枚数を3枚、4枚と増やす。ゼロ戦は3枚、紫電改は4枚とか、、、
事実、このメンターも後年、ハイパワーなターボプロップエンジンに換装したとき、ペラは3枚に増えてる。

静音のため、やたらペラの枚数を増やして、回転数を小さくした偵察機なんかもあった。
スピードが出なくなったと思うが。

大馬力を吸収する別な方法はペラの直径を大きくすること。だが大きいと地面に当たる。
「オスプレイ」は、その心配がないから、メチャでかいペラのまま水平飛行するけど大丈夫かな?
ターボプロップエンジンでは、静音目的や、音速衝撃波が出にくいカーブしたペラもある。

メンター説明版

メンター尾翼2
尾翼の構成が面白い。
どの舵面にも風圧バランス面が出っ張ってて「トリムタブ」もある。

昇降舵のトリムタブの操作ロッドはむき出し。ビード付きの板だらけ。古くはユンカース、クルマで言えば「シトロエン・2CV」みたい。
見栄えなんて気にしてない。アマチュアの自作ヒコーキみたい。
「空気抵抗低減には滑らかな表面が必須」なんて守ってない。

昇降舵にもトリムタブが付いてる理由は、重心が後ろに来たら「トリム上げ」にする必要があるからかな?
タンデム最大4人乗りもあったそうだから重心移動はバカに出来なかったのかも。

シッポの三角板は「風見性能」の向上策なのか? 
なくてもよさそう。後期のモデルの写真をさがしたら廃止されてた。 
同じくシッポの穴は、、、燃料の緊急廃棄口?それとも尾灯が欠品してるだけ?
メンター尾翼

ところで、、、、
クルマの開発に携わってた身として、ヒコーキの現物を見るたびに思うのだが、、、、
幻滅するほど機体表面の作りが雑過ぎるのだ!!

クルマ業界はひたすらボデイ表面の仕上がりと苦闘している。
滑らかな「つなぎのカーブ」、 曲面の歪みはないか?ハイライト・ラインは?
張り剛性は?映り込みは?パネルの合わせは?塗装のブツは?
、、、、 鏡のような表面を要求される。
もちろんそれは商品としての高級感追求なのだが、

古くは流線形の追求での空気抵抗低減、燃費向上、風音の低減などの追求でもあった。
コーダトロンカとか、テールフィンとか、ウエッジ・シェープとか、スポイラーとか、空力特性の流行もあった。
もっともグライダー(ソアラー)は、クルマ並みに滑らかな機体表面に仕上げられているのだが。

だが、、、
普通のヒコーキの外観表面の仕上がりには細かい滑らかさが全く見られない。
むき出しのリベット列、適当に合わさってるだけのパネル、中の骨組みが浮き出て見える、
ヘコヘコのジュラルミン外板、まあ、部分的にパネル交換するためだろうが。
果てはトタン板のような波板!「沈頭鋲」などが話題になるが、たいしてスムーズな面ではない。
空気抵抗だの、層流翼だの、剥離だの、渦流発生だのという割には、とても真剣に取り組んでるとは思えない。
まあ、口うるさい末端消費者向けの商品ではないというのも理由だろうが。

空力抵抗というのは、「マクロな機体形状」「前面投影面積」だけで決まるものなのかな?
ミクロな表面の滑らかさは、表面層流層の厚みより出っ張りさえしなければ、ほとんど貢献しないのではないか?
四角な箱モノのクルマで必死でバックミラーの形を滑らかに変えたり努力しても、
それはデザイナーの自己満足か、見た目だけの美しさだけのことなのだ。
事実、風洞実験やっても、その抵抗値の差異なんて、再現できないくらい小さい。

そういう目で見ると、昔の葉巻型の丸っこいスムースなF-1レーサーに比べて最近のF-1なんかは、やたら角ばったパーツの集合体になってる。
かっての、流体理論を取り入れたロータス・イレブンの滑らかなフェンダーのふくらみなんて、もうお目にかかれない。
スーパーカーは角ばったウエッジシェープの塊と化した。
空気抵抗低減はすっかり諦めて、ひたすらダウンフォースの増加に努めているみたいだ。
その点では最新のジェット戦闘機もやたら箱型に角ばってる。
ステルス性の追求とか、衝撃波対策が優先してるのかな

終わり
スポンサーサイト



不時着?博物館 の続編です

セイバー全景4

次なる目玉はセイバーの F86-F。後退翼の単発、
なんか初期の「ミグ15」のソックリさんに思える。それもそのはずの理由がある。

ソ連のミグ15は、朝鮮戦線にいきなり出現した。35度という極端な後退翼だ。
後退翼はナチスドイツが発明したもの。
直線翼では翼前端の全長にわたって同時に音速衝撃波が発生してしまう。
後退翼は音速衝撃波がズレて発生するので少ないパワーで音速を突破できるらしい。
その上、音速以上では操縦性が良い。
ソ連は捕獲したノウハウを使って素早く開発した。

同じくナチスドイツの資料を入手していたアメリカだが、後退翼の理論に懐疑的で、
直線翼ジェット機しか投入してなかったので大慌て。
直線翼では後退翼とのドッグファイトで負ける。
大急ぎで後退翼ジェット機を投入した。だからミグ15によく似ている。
だが後退翼は、通常速度ではダッチロールなどの面倒な現象もある。
セイバー説明版
セイバーは緩降下時にジェット戦闘機として初めて音速突破した。
いや、X-1のチャック、・イエーガー以前に、ジェット戦闘機で音速突破したと主張するパイロットもいた。
戦中の特攻ゼロ戦の「脳天逆落とし戦法」では、エアブレーキは無かったから
音速を突破して操縦不能や空中分解した場合もあったはず。

機首先端の黒いプラスチック部分の中には索敵レーダーが入ってる。
面積が小さいから前方向だけしかレーダーには写らない。
夜間や悪天候では原則、飛べなかった。

「目見当」で引き金を引く機銃でドッグファイトをやった最後の世代だ。
セイバー吸入口
操縦席はエンジンに跨ってる。すごい振動、騒音だったろう。
セイバー機首の謎の物体
機首先端にある謎のフィン。照準器? それともピトー管? 
セイバー前輪
この前輪も小さい。
セイバー前縁フラップ
教科書通りの前縁のスラット。これは戦中から実用化されてた高揚力装置だ。
前縁を下に曲げて、なおかつスリットから翼上面に空気流を送る。
翼のキャンバーが増えるし、翼面積も増える。着陸時の大きな迎角での翼上面の剥離、失速を防止する。
結果、着陸限界速度が下がり、航空母艦に降りれた。

DSC09110.jpg
水平尾翼は普通の昇降舵になってるように見えるけど「半遊動式」らしい。
まだ全遊動式(オール・フライイング・テール)にはなっていない。
つまり昇降舵とは別に、尾翼前半も独立に回転する。

方向舵にはトリムタブが付いてる。
ステンレスで光ってるところはアフターバーナーかな?
軽量だったので燃費の悪いアフタバーナーを使わずとも離陸できたそうだ。
胴体左右にエアブレーキが開くらしいが、、、どこだか分からなかった。
ドラッグシューター(着陸ブレーキパラシュート)はまだ付いていなかった。

セイバーのエアインテーク
このエアインテークは「NACAが開発したダクト(エア・スクープ)」と呼ばれたもの。
地味で小さいけどすごく有名なのだ。
風洞実験で音速衝撃波を緩衝する効果があるといわれた。

実は、、、、
クルマのデザイン界ではこの「NACAエアスクープ」がブームになった!
カーデザイナーはこの形を一斉に真似した。
フェラーリ、ムスタング・マッハ2!のフードにも付いてた。どっかの軽自動車にも採用された。
クルマはマッハにはならないんだけどねえ。

余談ばかりだが、、、、、、
後年発見された超音速機の「エリアルール理論」も流行した。
「音速では、前面投影面積を前後軸の各断面で同一にすると抵抗が減る」という法則だ。
これを採用したデルタ翼機は、翼のところをクビらせ、後半がまた膨らむセクシーな形となった。
なのでアメ車は一斉に真似して、フェンダーの後半をふっくらさせたクルマを売り出し、
これを「コーク・ボトル・テール」(コーラの瓶の形)と称したのだ。
もちろん国産車も皆なコークボトルテールを真似した。なつかしい昭和の話です。

続々編に続く


不時着した博物館?

テレビを流し見してたら「航空資料館でイベント」と。  えっ、長野にもあるの?!
早速検索したら、なんと篠ノ井線の「聖高原駅」、聖山の中腹にあるではないか。
山中に不時着した飛行機を保存してるのか? しかも明後日から冬季閉鎖!即、出動。

ナビで最短距離ルートの山道をヒヤヒヤしながら突破。
信州の、かっての宿場町、麻積村(おみむら)、聖山、聖博物館を目指す。
たどり着いたところは、落ち葉で道路が埋め尽くされた山腹に展開するリゾート別荘地、
スキー場まである。そうか、冬季閉鎖は当然だ。うーん、、とっても寒い。標高は1000メートル!
その林の中に何機かの銀白のヒコーキ群が展示してあった。不時着ではなかった。
ということは冬、飛行機は雪に埋まってしまうのか?
いえいえ、職員、ボランテイアの方々が随時、雪下ろしされてるそうです。有難い。
麻績村航空機資料館
隣接して村の歴史博物館があり、そこを増設して航空資料館になってる。
地元のボランテイアの方々が明日の閉店イベント準備に忙しくて、原則、館内見学はダメ。
そこを何とか、ご厚意でちょっと見せて貰った。なので室内展示のエンジン関係は見れなかった。
後日訪問するしかない。

後日のテレビ報道では、、、、
かっての麻績村の名物村長さんが、戦中、九州の飛行学校で教えていて、
戦後、その人脈で、自衛隊トップを動かし、展示機体を借り受けた。だから毎年、監査が来る。
それにしてもよくまあアメリカの軍事機密の機体を一般公開許可したものだ。

そういえば、成田空港に隣接する航空博物館で「X-1」の小さなコクピットだけがあったのにも驚いた。
「X-1」とは、アメリカの塩湖上空で、テストパイロットのチャック・イエーガーによって、
人類が初めて「水平飛行」で音速を突破したロケットエンジン機だ。
ライフル砲弾を真似た胴体に直線翼を生やした機体だった。

危険なロケット燃料は消費が早い。音速テストだけですぐ使い切ってしまう。
だkらドンガラ状態で滑空着陸した。
なのにイエーガーはその滑空中に「勝利のバレルロール」をやったのでトップから大目玉を食らった。
事故でもあったら大変!人類初の音速突破は冷戦が始まった当時は厳重な機密事項だったのだ。
そんなスゴイものがなんで成田に譲り渡されたのか?
それとも日本のメーカーが参画してたのか?アメリカはオープンマインドなのだ。

まず目玉展示は、、、、このスターファイター。
スターファイター説明版

スターファイター説明版2

今となってはビンテイージ級の超音速機。
ステンレスとかチタンかと思ってたが、普通のジュラルミンで出来てる。
エンジンパワーに余裕があったからマッハ2を超えてまだまだ伸びた。
だがジュラルミンの熱強度の限界があってそれ以上のチャレンジを止めたという。
とにかく細い。こんな小さい機体に1万馬力ものジェットを背負って突進したのか。
パイロットは命がけだ。

スターファイター前方より

砲弾型の細い胴体に短い直線主翼を付けたのは「X-1」と同じ思想だ。後退翼ではない。
直線翼は、後退翼に比べて音速突破後の加速がいいらしい。

ただし主翼は「X-1」にはない大きな下反角が付いてる。
垂直尾翼を巨大にしたために起きるダッチロールの対策だそうだ。

主翼面積は、全装備13トンを超える重量を支えるには絶望的に小さい。
それでも音速なら翼揚力なんて関係ない。
胴体をちょっと上向ければ十分揚力が出てしまうだろう。

小さな主翼では170km/h以上でないと失速する。
なので滑走路が3000m級でないとやばい。
最後はドラッグ・シューターを展開する。

音速を超えたときの衝撃波を最小減にするため。主翼の前縁はカミソリのように鋭い。
主翼自体も抵抗を減らすため薄板そのもの。

スターファイター前輪
前輪というのは、離陸前に浮くし、着陸後に着地するとはいえ、非常に小さい。
重心よりも前にはあるが心配になる。

スターファイター増槽
両翼端にある巨大な切り離し増槽タンク。アフターバーナーを使うと燃費がすごく悪い。
タンクは、翼端の誘導抵抗を減らすエンドプレート効果もある。
スターファイター尾部
増槽にも尾翼がちゃんと付いてる。進行方向を保って落ちてくれないととんでもない方向に飛ぶからね。

今はすたれた「T字尾翼」だ。
主翼がやたら近くにあるので、効きを良くするのに距離を稼ぐためだそうだ。
だが、、迎角の大きい離着陸時に主翼からの乱気流の中に入って操縦困難になる。
なので迎角を制限した。結果、空戦性能が制限されてしまった。

逆噴射装置は付いていない。
ドラッグシューター(着陸時のパラシュートブレーキ)がどこに付いてのか分からない。
スターファイター尾翼
既に全遊動式(全面可動式、オールフライイングテール)水平尾翼に移行してる。
翼前端で衝撃波が発生しても効きが失われない。
ジェット旅客機は、別な目的として前後トリムが変わったときにも最小抵抗に保つために
オールフライイングテールにしている。
回転ヒンジは半分よりチョッと前にして風圧バランスを取ってる。

方向舵はやたら小さい。簡単にロールしてしまうから旋回は問題ないのかな。
光り輝いてる胴体部分はアーフタバーナーの高熱に耐えるステンレス。
スターファイターの吸入口
エンジン吸入口の「ショックコーン」 スパイクともいうらしい。  
試作初期には無かった、というか秘密にしてた。
これを前後に可動させて、衝撃波のコントロールを行う。

固定ショックコーンそのものはナチスドイツが開発したような?
吸入口で衝撃波が出るとエンジンがストールするのでそれを防止した。

吸入口が胴体に密着していない。
胴体の「層流層」の厚さがエンジン吸い込み口に入らない工夫とか。
超音速では、この層流層のコントロールが重要らしい。
だがステルス性には、この隙間は困るとか。難しいんだなあ。

続編に続きます。






プロフィール

ゴンベ

Author:ゴンベ
房総の沢、滝探検、ヤブ山探検、地形調査、デインギー(ヨット)などを書いていこうと思っています。
分かりやすいように書いていくつもりですが、もし分かりにくいことがあればコメントをいただければ可能な限り答えます。
読んでいただければ幸いです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR